2017年12月に平打ちリングの各面(4面)に文字の入ったリングを製作しています。
記事はこちらから https://wp.me/paJh8d-jj
あらかじめリングに文字を入れることによって、1品感、特別感、付加価値が高まります。
今回は文字列を6面(内径、外形、側面、側面、斜側面、斜側面)全周(内側湯口部は除く)に彫刻を行っています。
文字数は6列476文字です。一番小さい文字は0.5mmほどです。サポートを付けずに、最終切落としのバリ、もしくは軽微な段差は手作業で修正するという段取りであれば、このようなカットをすることが可能です。(最終カットA軸角で100度以上必要です。バリ、段差等はほぼ出現しない場合もあります)
ただし、最終ボトム面彫刻は、刃物が約45度(Y軸5.00、A軸135.00)で入りますので注意が必要です。刃物入射角に依存する壁面切り残しが出現します。
前回のリングではCADデータにすでに文字形状が形成されていましたが、今回のリングは「Engraving」コマンドを使用して、単線で文字を彫刻していきます。「Engraving」コマンドはデータ線上を刃物の中心が指定した深さで、その名の通り「彫り」をしていくものです。したがって、文字は単線である必要があります。Windowsの文字データは単線ではなく囲み線ですので、Rhino:JewelryCAM上で使用すると刃物は囲み線を彫刻し、文字が太くなることになります。エンドミル深度の太さ半径が線上からオフセットされることになります。
単線文字は[Single Stroke Font]で検索すると、無料で使用できるものも数多くありますので、お試しください。主に海外サイトになります。
Rhino上でオリジナルの単線文字を作って使用することも可能です。
JewelryCAMの「Engraving」コマンドは文字だけでなく、単なる線の模様も彫刻することができますので、使い方によっては面白い製品を作ることができます。オブジェクト表面方向から見える線の奥行を変えることによって、1本の線でも浅いところ、深いところを表現することが可能です。また、2本の線を意図的に重ね合わせたり、ズレを入れることによって、彫り風の彫刻をワックスにすることも可能です。こちらはX7では地金に直接可能です。
彫刻部壁面はエンドミルのテーパー角に依存しますので、通常斜度は5度となります。ゴム取が必要な場合にはゴム抜けが良くなります。
【切削時間】
2時間30分
【最小文字サイズ】
約0.55mm(上面、底面 データ上では0.42mm)
【彫刻深さ】
0.2mm、ボトムのみ0.15mm
【文字幅】
0.11mm
【サポート】
なし ※通常切削サポートは必要です。いくつかの条件がそろった場合に限り、サポートのない切削をすることができます。製品に大きなダメージを与えることはありません。
赤い印は上下を区別しやすいようにつけています。ワックスが透けて見える部分は壁が0.1mm程度になっているためで破損ではありません。