ワックス5軸切削機 Mira-6 で長もの切削

Mira-6で行う長もの切削では、前回行ったような4軸切削方法と以下画像に示すような5軸切削方法があります。こちらの長ものは全体はシンプルな丸棒ですので、ゴム取用の原型製作であれば真鍮棒でも間に合わせられる形状です。ところが、インジェクションを行うと丸棒は偏平してしまうという問題もありますので、ワックス切削を行います。

 

Mira-6におけるワックス切削では、ツールパスの設計も重要ですが、どのような元ワックス形状からどのような切削を重ねていくかを考慮することもとても重要になります。

実際に使用するワックスはRhino上に参考オブジェクトとして書き入れてしまうと良いでしょう。切削イメージがつかみやすくなります。

JewelryCAMでは切削オブジェクトとして指定した立体(Select Geometryボタンクリック後に選択した単数もしくは複数の要素)、サーフェスのみを認識しますので、必要とする参考オブジェクトは自由に書き入れることができます。後から追加することも可能です。ただし、あらかじめ読み込ませたオブジェクトを移動したり、削除したりするとエラーにつながります。

ほぼCAD設計通りのワックスを作ります。ワックスがオブジェクトよりも小さい場合、あるいはぎりぎりサイズの場合には、ワックスのセットずれでオブジェクトが正確に切り出せない場合があります。また、大きすぎるワックスは刃物移動時に刃物と衝突し刃物を破損してしまう恐れもあります。

ロッドワックスが設計から少し不足していましたので、端材板を入れて調整してしまいます。2mm程度までならチャックに問題はありません。

切削するオブジェクトはロッドワックスからかなり遠いところに配置しています。今回の切削では5軸切削でA軸をかなり傾けて作業を行います。そのため、A軸が傾斜をしても刃物とロッドワックスが干渉しないであろう位置にオブジェクトを置いています。エンドミルの刃長は26mm程度ですので、これ以上の位置でワックスと干渉してしまうと切削はできません。さらに、その数mm上部にはエンドミルのチャック部分16mm径がありますので、細部の干渉チェックが必要になります。A軸の傾斜がなく、刃物、チャック共にロッドワックスに干渉がない場合には、可能な限りロッドワックス側に近づけるとワックスビビリをなくすことができます。

使用するワックス、CAMで使用する要素はそれぞれをレイヤで色分け設定をします。個別にShow、Hideが可能になりますので必ず設定をしておきます。ツールパスの修正や要素の変更時に作業がしやすくなります。

こちらのオブジェクト切削にかかるJewelryCAM操作の時間はおおよそ30分です。すべてのツールパスをデザインした状態は下画像です。黄色い線は刃物が出入りする経路で、ブルー系のオブジェクト上ラインが刃物先端が通るツールパスです。ツールパスは拡大して、切り残しや異常なラインになっていないかを確認します。

ツールパス拡大画像。ツールパスは確実にオブジェクトを切削できるよう、重なりあっている必要があります。刃先が向き合う切削接線において、刃先交差がゼロゼロでは、先端形状がRのエンドミルでは完全な切削はできません。またワックスは特に柔らかい素材ですので、伸びも考慮する必要があります。

下画像はツールパス製作に使用したオブジェクト以外の要素です。JewelryCAMでは主に要素としてサーフェス、アイソカーブ抽出線を新規に製作して使用します。DriveSurfaceをノーマルで使用する場合には、サーフェスは刃物の角度が決まる重要な要素となりますので、形状を工夫していく必要があります。角度表示はA軸の限界角度を目安として線で置いているものです。

Rhino上から起動できるJewelryCAMのシミュレータは、とても便利なものです。MoveListでは、切削中の各軸位置をG-Codeの一行ごとに見ることができますので、Y軸位置、A軸角度を参照して衝突危険を回避することができます。MoveList画面のA軸横のスライダーを使用して、確認していきます。Mira-6ではA軸の限界角度は135度とされていますが、Y軸位置によって角度限界はマイナスしていきますので、注意が必要です。

シミュレータと合わせて、G-Codeでも確認するとさらに衝突危険が回避できます。

Mira-6でのワックス切削は、CAM(G-Code製作)や切削機(ワックス切削、フライス盤、旋盤等)を使用されたご経験がないと、全体的な流れをほぼご理解いただくまで、1ヶ月から数か月かかるかもしれません。CAMで作ったツールパスと実際に仕上がった製品を評価しながら、トライアル&エラーを繰り返していただくことになると思います。また、刃物の入れ方によっては、CADで設計した通りの形状にならない場合もありますので、切削後の製品は多少手を入れることも考慮していただく必要があります。(ツールパスの組立方によります)

 

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