Musoの推奨するカットの続編です。
今回ご紹介するロープ形状は、上視点から見た時にアンダーの出る意外と難しい形状です。
このような形状でも内側からのドライブカットは有効的です。ただし、刃物の横部が多少触れますので切削ピッチを小さくするか、刃物の当たり具合を工夫する必要があります。
刃物の横刃を使用する場合は、先端のみで切削できるパラレルと異なり、刃物にビビリが少なからず発生します。これが切削表面を傷つける要因の一つにもなりますので注意が必要です。刃物のビビリは刃物の物理的方向強度に倣いますでの、先端のみで切削が一番刃物は安定します。
今回の切削で追求した点は、
・より切削物の完成度を高く
・よりツールパスを簡単に
・サポートなし
の三つです。
トップ画像からご確認いただける通り、今回のツールパスは2段です。リングを縦に割ったときの形状はアンシンメトリです。しかもサポートを付けない多少無謀なカットです。
[ツールパス]
ツールパス作成動画は以下からご覧ください。約5分で製作可能です。こちらの切削方法は、シンプルな甲丸リングやその他のオブジェクトに幅広く応用することができます。ただし、必ずリング形状の内側から切削することが必要になります。内側から切削することによって、外形のワックスは固定されたままになりますので、ワックス素材のビビリを最小限にすることができます。
[ワックス素材]
使用しているワックス素材はΦ33mmのロッドワックスL40mm(数十回は使用可能です。破損やヘリがあった場合には継足しもできます)と、1LBのワックスブロックからの切り出し品(のこぎりでは大変なので、バンドソーを使用します)を、市販のハンダゴテで溶かして製作しています。素材の端面出しには旋盤やフライス盤があると便利ですが、なくとも問題はありません。素材の寸法精度はそれほど重要ではない場合が多いです。切出すオブジェクトが確実に取り出せるブロック寸法があり、設計時のワックスブロックから外形で3mmを超えないことが重要です。
[ワックス材料価格]
1LB(パウンド:約450g:92mm x 152mm x 38mm)のFerrisワックスブロックは1500円程度です。今回使用したワックスの切削部分を46mm×30mm×10mmは1LBのワックスブロックから約30個取得できますので、今回の切削物1個あたりの材料原価は約50円ということになります。また、切削を終えたワックス端材は小さいパーツを切り出す素材としても、ロッドワックスと板材ワックスの溶着時の補強材(盛り)としてもお使いいただけます。
[装置1時間あたり消耗価格]
装置や周辺設備価格を組み入れて、÷8年÷12ヶ月÷20日÷8時間で計算してみると、驚くべき低価格で高品質切削ができることがわかります。